「たんすに眠っている母の着物を手放したいけれど、どこに頼めばいいのか分からない」「証紙のない着物や古い帯にも値段がつくのか不安」そんな悩みを持つ方は多いはずです。
世の中には多数の着物買取店があり、出張買取を手がける大手リユース企業から着物専門の宅配買取店、地域の呉服店・問屋が営む買取店まで様々な選択肢があります。しかし店舗ごとに着物の目利きや買取対象、手数料の範囲が大きく異なるため、選び方を間違えると損をしたり、作家物や伝統工芸品の価値を見落とされたりすることも。
この記事では、着物を高く売りたい方に向けて、失敗しない買取店の選び方、利用できる主要な着物買取店、売る前の準備、高く売るコツまで徹底解説します。
着物買取店の選び方|5つのポイント

着物は種類や産地、作家によって価値が大きく変わるため、次の5つのポイントを押さえて買取店を選びましょう。
1. 着物に詳しい専門の査定士がいるか
着物の価値は、素材や染め・織りの技法、産地、作家、仕立て、保存状態など多くの要素で決まります。着物の知識が乏しい店では、作家物や伝統工芸品であっても一般的な古着と同じように扱われ、本来より低く査定されることがあります。着物専門店や、呉服の卸・小売を手がけてきた店であれば、証紙や落款を手がかりに適正な評価をしてもらいやすくなります。
2. 帯・和装小物・反物まで買取対象か
着物と一緒に、帯や帯締め・帯揚げ、帯留め、草履、仕立てていない反物などを手放したい方も多いはずです。店によっては、喪服やウール・化繊の着物、襦袢、小物だけの依頼を対象外としているため、買取できる品とできない品を事前に確認しておきましょう。値段がつかない品を無料で引き取ってくれる店もあります。
3. 買取方法と手数料の範囲を確認する
着物の買取方法は、主に次の3種類です。
・出張買取:査定士が自宅を訪れて査定する。点数が多い場合や持ち運びが難しい場合に便利
・宅配買取:段ボールに詰めて送る。遠方からでも利用でき、対面せずに完結する
・店頭買取:店舗に持ち込む。目の前で説明を聞きながら査定を受けられる
査定料や出張料を無料とする店は多いものの、宅配買取で不成立になった場合の返送料は自己負担という店も少なくありません。返送料やキャンセル料まで含めて無料かどうかを確認しておくと安心です。
4. 訪問購入のルールとクーリング・オフを理解しておく
業者が自宅などを訪ねて品物を買い取る取引は、特定商取引法の「訪問購入」として規制されています。出張買取を利用する前に、次のルールを知っておきましょう。
・依頼していない人への突然の訪問勧誘や、査定の依頼を超えた勧誘は禁止されている
・業者は、品名や買取価格、クーリング・オフなどを記載した書面を渡さなければならない
・その書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、クーリング・オフ(契約の解除)ができる
・クーリング・オフ期間中は、売った品物の引き渡しを拒むこともできる
「不要な着物を買い取る」といった電話の後に自宅を訪れ、貴金属などを強引に安く買い取る押し買いのトラブルには、国民生活センターや各地の自治体が注意を呼びかけています。なお、店頭に持ち込んで売った場合は訪問購入に当たらずクーリング・オフの対象外で、自分から業者を呼んで自宅での売買契約をはっきり求めた場合も、クーリング・オフなどの規定が適用されないことがあります。出張買取は信頼できる店に依頼して契約書面を必ず受け取り、困ったときは消費者ホットライン「188」に相談しましょう。
5. 着物以外の売却を迫らない店か
着物の査定を入口にして、貴金属やブランド品の売却を求める業者も存在します。着物専門店の中には、着物・和装品以外は買い取らない、または売却を強要しないと明記している店もあり、安心材料のひとつになります。査定額の根拠を1点ずつ説明してくれるか、その場での即決を迫らないかも確認しましょう。
利用できるおすすめの着物買取店
着物買取に強い主要店を紹介します。
バイセル

バイセルは、東京都新宿区に本社を置く株式会社BuySell Technologiesが運営する、出張買取を主力とするリユースサービスです。
振袖や訪問着、紬などの着物と帯を中心に扱い、証紙をなくした着物やシミのある着物も査定に応じています。和装小物は専用の買取ページを設けている一方、品物によっては対象外になる場合もあるため、事前に問い合わせておくと確実です。査定士の判断を商品管理部門の担当者が改めて確認する、二重チェックの体制も特徴です。
買取方法は出張・店頭・宅配の3種類で、全国に150の店舗を展開しています。査定料や出張料はかからず、電話での問い合わせは24時間受け付けています。
女性査定士も在籍しており(地域や日程によっては対応できない場合あり)、出張買取で成約した場合の8日間のクーリング・オフについても案内しています。
着物の点数が多く、自宅にいながら手軽に査定を受けたい方におすすめです。
| 店舗名 | バイセル(株式会社BuySell Technologies) |
| 所在地 | 東京都新宿区四谷4-28-8 PALTビル |
| URL | https://buysell-kaitori.com/kimono/ |
たんす屋

たんす屋は、東京を中心に百貨店内なども含めて店舗を展開し、買い取った着物を自社の店舗で販売しているリユース着物の専門店です。
買取の対象を着物・帯・和装品に絞っており、貴金属などの査定は行わず、押し買いもしない方針を明示しています。値段がつかない品も無料で引き取ってもらえます。
宅配買取は事前の連絡が不要で、佐川急便の着払いで送れば送料や振込手数料はかかりません。受け付ける点数などの条件は、発送前に公式サイトで確かめておくと安心です。写真で目安を聞けるLINE査定や、預かりに対応した店舗への持ち込みも利用できます。
支払いは銀行振込のみで、依頼が混み合う時期は査定結果の連絡まで時間がかかる場合があります。
着物以外の品を売るつもりはなく、着物や帯だけをまとめて手放したい方におすすめです。
| 店舗名 | たんす屋(たんす屋株式会社) |
| 所在地 | 神奈川県川崎市高津区二子3-31-3 MKグループ二子ビル4階 |
| URL | https://tansuya.jp/kimono-kaitori/ |
京都高級呉服買取センター

京都高級呉服買取センターは、京都で長年呉服の卸を営んできた株式会社高尾商店(京都市山科区)が運営する、着物買取の専門店です。
作家物や有名な織元、各地の伝統的な織物に詳しく、二代目のオーナーは着物の収集家として着物の美術館サイトも運営しています。着物以外の品の売却を求めない姿勢を打ち出している点も安心です。
買取方法は、全国から送れる宅配(無料の梱包キットあり)、山科の本店での店頭、京都近辺と東京23区への訪問(量によってはほかの地域も相談可)の3種類です。出張費や査定料に加え、宅配で不成立になった際の返送料も会社が負担します。
宅配は荷物の到着後、通常1営業日以内に査定結果の連絡があり、承諾すれば即日または翌日に振り込まれます。
作家物や産地物の高級着物を、目利きのある専門店に見てもらいたい方におすすめです。
| 店舗名 | 京都高級呉服買取センター(株式会社高尾商店) |
| 所在地 | 京都府京都市山科区北花山大林町15-1 |
| URL | https://www.gofuku-kaitori.com/ |
特選着物買取きものおおば

特選着物買取きものおおばは、東京都中央区東日本橋に本店を構える着物問屋、株式会社きものおおばが運営する着物買取の専門店です。
2003年の創業以来、工芸染織として優れた和服を中心に扱っており、作家物や結城紬・大島紬などの産地作品、アンティーク着物の買取に力を入れています。鑑定歴35年の専門家が、相場を踏まえて価格の理由まで説明してくれるとしています。
買取方法は予約制の来店・出張・宅配の3種類で、出張と宅配は全国に対応しています。宅配は着払いで送れるため送料がかかりません。
事前にメールやLINEで画像を送ると、おおよその査定額を確認することもできます。
人間国宝や有名作家の作品など、価値が分かりにくい着物を正しく評価してほしい方におすすめです。
| 店舗名 | 特選着物買取きものおおば(株式会社きものおおば) |
| 所在地 | 東京都中央区東日本橋3-6-6 パークビル1階 |
| URL | https://www.tokusenkimono.net/ |
銀座きもの青木

銀座きもの青木は、銀座に店舗を構えて20年になる着物専門店で、運営する株式会社あおき美術が東京都世田谷区に買取部門を置いています。
買い取った着物や帯は銀座の店舗やオンラインショップで直接販売するため、中間マージンを省いた査定ができるとしています。依頼した品以外の売却をすすめたり、ほかの持ち物を尋ねたりしないと明言しているのも特徴です。
まずLINEで写真を送って簡易査定を受け、宅配(着払い)、世田谷事務所への持ち込み(完全予約制)、出張のいずれかで本査定を受ける流れです。出張料は無料で、東京・神奈川・千葉・埼玉を中心に、内容によっては全国へ出向いてもらえます。
化繊やウール、喪服、サイズの小さい着物は対象外のため、状態の良い正絹の着物や作家物の帯を売りたい方におすすめです。
| 店舗名 | 銀座きもの青木(株式会社あおき美術) |
| 所在地 | 東京都世田谷区弦巻3-12-14 青木ビル |
| URL | https://www.kimono-aoki.jp/purchase |
一昌(いちまさ)

一昌(いちまさ)は、大阪の繊維問屋街・船場で開業から25年以上営業を続ける、呉服の買取・販売店です。
全国の産地品や専門業者の競り市に長く関わってきたスタッフが査定を担当し、古い品でも良いものは正当に評価する姿勢を掲げています。女性スタッフによる鑑定も特徴です。
まずLINEに写真を送って仮査定を受け(365日受付)、納得できれば着払いで送る流れで、必要なら梱包用品も用意してもらえます。成立後は即日から2営業日以内に入金され、量が多い場合は全国へ訪問査定にも来てもらえます。
正絹が基本で化繊やウールは対象外、小物だけの依頼も受けていないため、関西で正絹の着物や帯をまとめて売りたい方におすすめです。
| 店舗名 | 一昌(有限会社一昌) |
| 所在地 | 大阪府大阪市中央区久太郎町2-3-8 |
| URL | https://ichimasa.jp/ |
着物を売る前にやるべき準備

査定当日に慌てないよう、着物ならではの準備を進めておきましょう。
1. 証紙・落款・付属品を探す
証紙とは、大島紬や結城紬などの産地物に付けられる、産地や品質を証明するラベルのことです。反物の端の布(反端・端布)に貼られていることが多く、仕立てた際に呉服店から一緒に渡されている場合があります。作家物では、衽(おくみ)や衿先に押された作家の印である落款も重要な手がかりです。証紙や端布、作家名入りの桐箱、購入時のたとう紙などが見つかれば、着物と一緒に揃えておきましょう。
2. 身丈・裄などのサイズを測る
着物の査定では、身丈(肩から裾までの長さ)と裄(背中心から袖口までの長さ)が重視されます。現代の人は昔に比べて体格が大きくなっているため、サイズの小さい着物は需要が少なく、買取対象外とする店もあります。メジャーで身丈と裄を測ってメモしておくと、電話やLINEでの事前相談がスムーズに進みます。
3. 虫干しをして、たとう紙に包んで保管する
長年たんすにしまっていた着物は、カビや湿気による臭い、虫食いが出ていることがあります。湿度の低い晴れた日に、直射日光の当たらない風通しの良い場所で陰干し(虫干し)をして、こもった湿気を飛ばしましょう。干した後はたとう紙に包み直し、査定の日まで平らな状態で保管します。古いたとう紙は湿気を含んでシミの原因になりやすいため、黄ばんでいれば新しいものに替えておくと安心です。
4. シミ・汚れは自分で落とそうとしない
衿や袖口の汚れ、汗ジミ、胴裏の黄ばみなどは査定に影響しますが、水拭きや洗剤で落とそうとするのは避けましょう。正絹は水に弱く、輪ジミや色落ち、生地の縮みを起こしてかえって価値を下げるおそれがあります。シミやカビはそのままの状態で査定に出し、気づいた点を正直に伝えるのが無難です。
5. 売る品を決め、本人確認書類を用意する
買取の際は古物営業法に基づく本人確認を求められるのが一般的なため、運転免許証やマイナンバーカードなど、店が指定する身分証を用意しておきましょう(使える書類は店ごとに異なります)。出張買取では、売る予定の着物や帯を一か所にまとめておき、売るつもりのない貴金属などは見せないのが基本です。一人での対応が不安な場合は、家族など信頼できる人に同席してもらいましょう。
着物を高く売るための7つのコツ

同じ着物でも、売り方ひとつで査定額は変わります。次の7つのコツを意識してみてください。
1. 証紙・落款は着物と一緒に提示する
証紙や落款は、産地物や作家物であることを裏付ける大切な証拠です。証紙がなくても買い取ってもらえることはありますが、本物かどうかを判断する材料が少ない分、評価が控えめになりがちです。LINE査定で写真を送るときも宅配で送るときも、証紙は着物と並べて撮影・同梱しましょう。
2. 作家物・伝統工芸品は専門店で査定する
人間国宝や日本工芸会の作家の作品、大島紬・結城紬・黄八丈・芭蕉布などの伝統的な織物は、着物の知識がある店ほど適正に評価してくれます。総合リユース店では見落とされやすい品もあるため、高級呉服に強い専門店にも査定を依頼してみましょう。購入した呉服店や百貨店の名前が分かれば、あわせて伝えると判断材料になります。
3. 帯や和装小物とまとめて売る
着物に合わせて誂えた帯や、帯締め・帯揚げなどの小物は、まとめて査定に出すのがおすすめです。コーディネートが揃っていると次の買い手に提案しやすく、振袖などは帯とセットで売ると評価が上がりやすいとされています。単品では値がつきにくい小物も、着物や帯と一緒なら引き取ってもらえることがあります。
4. 着なくなったら早めに売る
着物は保管期間が長くなるほど、胴裏の黄ばみやカビ、金銀の箔の変色などが進みやすくなります。「いつか着るかも」としまい込むより、状態が良いうちに売るほうが高値につながります。仕付け糸が付いたままの未着用品は、特に早めの査定がおすすめです。
5. 季節を先取りして売る
着物には、夏の薄物や単衣、袷といった季節ごとの需要があります。夏物は春先、袷は秋口というように、着るシーズンの数か月前に売りに出すと、店が在庫を確保したい時期と重なりやすくなります。ただし、季節を待つ間に保管状態を悪くしては逆効果なので、無理のない範囲で調整しましょう。
6. 複数の店で査定額を比べる
着物の査定額は、店の販路や得意分野によって差が出やすいものです。LINEやメールで写真を送れる簡易査定を活用すれば、自宅にいながら複数店の目安を比べられます。最終的な金額は現物を見て決まるため、写真査定だけで判断せず、本査定の説明に納得してから売りましょう。
7. 着物の来歴や情報をできるだけ伝える
作家名や織物名、購入した呉服店、購入時期、誰がどのくらい着たかといった情報は、査定士にとって重要な手がかりです。分かる範囲でメモにまとめて伝えると、価値の見落としを防ぎやすくなります。たとう紙に呉服店の名前が入っていることもあるので、捨てる前に確認してみましょう。
まとめ|着物は専門知識のある店を選び、証紙と付属品を揃えて売ろう

本記事では、着物買取をする際のポイントを徹底解説しました。最後に重要ポイントをおさらいします。
着物買取店を選ぶときは、着物に詳しい査定士がいるか、帯や和装小物まで対象か、返送料まで含めて手数料が無料かを確認しましょう。出張買取を利用するなら、契約書面を受け取った日から8日以内はクーリング・オフができるなど、訪問購入のルールも押さえておくと安心です。紹介した店では、自宅で手軽に査定を受けたいならバイセル、着物だけを宅配でまとめて売るならたんす屋、作家物や産地物の高級呉服なら京都高級呉服買取センターや特選着物買取きものおおばというように、目的に合わせて選ぶのがおすすめです。
高く売るためには、証紙や落款を揃えて提示し、帯や小物とまとめて、着なくなったら早めに売ることが大切です。身丈・裄の確認や虫干しといった売る前のひと手間も、査定額を左右します。
たんすに眠ったままの着物も、買取店を通じて次に大切に着てくれる人へ引き継ぐことができます。本記事を参考に、納得のいく着物買取を実現してください。


